『こうして魔女は生きることにした。』文野はじめ
#青春
- 作者: 文野はじめ,山本すずめ,蜂八憲
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2015/05/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自称"中の上"的な女の子が大人気中学生作家に「恋愛小説を取材したいから」と告白されて付き合う話。ボーイ・ミーツ・ガールなんだけどボーイもガールもあまり好きになれないまま読み進めてたらそのままダラダラ終わってしまった、みたいな。折角いい設定を持っているカップルなだけに、もっと交流して手の内を見せて欲しかった。
あと、大人気小説家月野魔夜の小説を読んだ主人公および友達は創作意欲を掻き立てられたという描写があるのだけど、どのようにして創作意欲を掻き立てるのかという説明が全くなくて残念。面白い小説を読むと創作したくなってしまう―のか?本当にそうか?
逆の立場、つまり創作しない批評家という立ち位置を貫いていた丸山くんは別にアリスキテラ(作中に出てくる人気ライトノベル)を読んで即創作したいとなったわけではないし、うーーん。タイトルに惹かれて読んだけどあまり楽しめず残念だった。
エログロ乱舞の能力者バトル『戦闘破壊学園ダンゲロス』架神恭介
#ライトノベル #デスゲーム #能力者
- 作者: 架神恭介,左
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/02/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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エログロ厨二な能力者物。TRPGをノベライズしたものらしいが、元々のTRPG要素がどこにあったのかはいまいち分からず、普通に能力者ものとして読める話になっている。読むのは二度目だが、相変わらずの下品さと勢いが良かった。
”魔人”なる能力者は人間を遥かに上回る体力や攻撃力を持ち、ついでに特殊能力も一人一つずつ持っている。能力の裏付けがまた「認識した通りに世界が変容する/認識を他人に押し付けることができる」というこれまた厨二マインド溢れる設定で、そういうわけで魔人の能力は厨二っぽいものが多い。眼球が飛べば女風呂を覗けるのにな~と考えていたら眼球を自由に飛ばすことのできる能力を得た…など、こうだったらいいのになという妄想が現実化したものが多い。そんな感じで微妙に格好いいんだか悪いんだか使い勝手がいいんだか悪いんだかな能力が多く、見ていて楽しい。
基本的には終始キャラの設定でゴリ押しする感じ。能力者モノならではの上手いコンボもそこまで多くないし生徒会vs番長グループの団体戦といいつつ個別の戦闘が多め。能力者モノのコンボが見たい、丁寧な伏線と華麗な活躍を見たいとなるとなんか違う…と思いそう。エログロ能力者バトルでいけいけどんどーんみたいなノリの良さを求めるなら良いかも。個人的にはメタい部分をどう処理していいかいまいちわからなかったのがちょっと微妙だった。読了感がメタに塗られるのはなーという感じ。
どうぶつ将棋
どうぶつしょうぎと将棋にハマっているのと、年末年始あたりからやる気がなくなったので読書が捗っていない。
本将棋は2,3日前に始めたばかりでこまおという激弱CPUをどうにか倒せるレベル。対してどうぶつしょうぎは年末から始めて定跡も覚え始め、楽しくなってきたところ。
どうぶつしょうぎなんて初めて聞いたという人のために軽く説明しておくと、どうぶつしょうぎとは3×4という小さい盤上で遊ぶ将棋だ。子供向けの将棋として作られたようだが、これがなかなか奥深くて楽しい。解析によって後手必勝ということが分かっているが、2億局面なんて覚えきれないので人間が指すと(有段者なら)後手有利という程度である。
ルールは簡単で、相手のライオンを取る(=キャッチ)か、相手の陣地1列目に(相手の駒に次の手で取られない状態で)入る(=トライ)と勝ち。相手の駒を取ったら自分の駒として使えるところは将棋と同じ。ひよこは歩、きりんは飛車、ぞうは角、ライオンは王とほぼ同じ動きをする。と言ってもきりん、ぞうは1マスずつしか動けない。
www.joshi-shogi.com
「どうぶつしょうぎウォーズ」というオンライン対戦できるアプリで指していて、いまはようやく5級。初段までは定跡を覚えれば上がれる…とのことなので、どうぶつしょうぎ大全という解析アプリを使ってひたすら悪手と定跡を頭に叩き込んでいる。どうぶつしょうぎは盤が狭いため一手間違えると形勢が大逆転して即詰みになることが多々あるのだ。しかもウォーズは持ち時間が2分しかないので長考できない。定跡を覚えるか、悪手を一瞬で判別できるようにならないと勝ち続けるのは難しい。
確かに死に覚えゲーだし定跡沼なんだけど、どうぶつしょうぎが持つ最大の利点として、初心者にもとっつきやすいということが挙げられる。なんてったって初手のパターンは4通りしかない。適当に動かしてもそこそこ戦える気になれるのだ。楽しい!駒の効きも複雑にならないので初心者にも考えやすい仕様。迷ったときはとりあえず王手かけるか、他の駒が効いてるところに駒を置くといい感じ。
軽い気持ちで始めたのだけど、すっかり熱中している。初段を目標に頑張りたい。
「知る」ことは止められない『know』野﨑まど
#SF #拡張現実 #ボーイミーツガール
- 作者: 野崎まど
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/09/30
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SFのジャンルとしては拡張現実モノと言うことになるだろうか。舞台は2081年の日本。超情報化社会となった日本は、人間の処理能力を超えた情報量に適合するため《電子葉》という装置を開発した。電子葉は情報取得と処理を高速化するものだが、パンダの学名を聞かれたとき無意識にネットで検索して結果を得ることが出来る、しかもノータイムで行えるとか、特権を得ていれば人の個人情報まで盗み見ることが出来るとかいろいろと便利でプライバシーもへったくれもないものである。
まあこの物語を通して、情報は自由であるべきだと言われているのでプライバシーの問題についてはあまり触れられていない。それよりはむしろ、「知る」という行為や、「知りたい」という気持ちが進む道を描いている。
いくらSF向けの文体になっているとはいえ、野﨑まどなので相変わらずそこまで説得力はない(※ラノベよりは説明が多い)し、人智を超えた天才も出てくる。それでも今まで読んできた野﨑まどとは違ってああ面白い!と感じたのは、「知る」という身近でかつ興味のあるテーマだったからだと思う。そりゃできることなら何だって知りたいんだよ!という思いは常々あって、そんな私には「原理上何だって知ることが出来る」、「超効率的に理解できる」というガジェット(電子葉など)はとても魅力的だったのだ。
最後の方はテッド・チャンの『理解』の劣化版(おそらくオマージュ)だったり胡散臭さが増してきたりで微妙なところはあったんだけど、全体のテーマは明快だしオチも良く、軽く楽しめる話だった。野﨑まどがまたSFを書いたらぜひ読みたい。
女性への執念『ファンタジスタドール イヴ』野﨑まど
#ノベライズ
- 作者: 野崎まど
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/10/29
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そういえば、野﨑まど特有のあのどんでん返しを感じられなかったのが残念。前日譚だしファンタジスタドールのことを何も知らないから、多分そこにあるネタに気づいていないだけだとも思う。
『みるみる理解できる相対性理論』佐藤勝彦監修
#物理 #相対性理論 #NEWTON
みるみる理解できる相対性理論―特殊相対論も一般相対論も実はむずかしくなかった! (ニュートンムック)
- 作者: 佐藤勝彦
- 出版社/メーカー: ニュートンプレス
- 発売日: 2005/09
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「時間的無限大」を読んで相対性理論のこと何も知らないなあと思い、図書館にあったNEWTONの中から適当に選んで本書を読んでみた。数式がほとんど出てこないイメージ図の多い絵本だが、"観測者によって時間・空間が伸び縮みする"というイメージは掴めたような気がする。NEWTONはイメージしづらい概念のつかみにいいのかもしれない。
相対性理論*1 には「特殊相対性理論(重力を扱わない)」と「一般相対性理論(重力を扱う)」がある。特殊相対性理論は物理学を学んでいない人でも頑張ればなんとか理解できるらしいが、一般相対性理論は鬼だとか。
読んでいて面白かった部分は、光速度不変の原理と、空間がちぢむこと(ローレンツ収縮)のたとえ話。光速度不変の原理とは、「光は観測する場所の速さや、光源の運動に関係なく、つねに秒速30万kmで一定」という原理で、特殊相対性理論の前提となっている。つまり、
-=≡[運動する光源]→ ←[光速に近い速さで飛ぶ宇宙船]≡=-
という状況があったとき、宇宙船から見た光の速さは「運動する光源の速度 - 光速に近い速さで飛ぶ宇宙船」ではなく、秒速30万kmになるようだ。なかなか納得しづらいのだが実証されているらしい。本文中で学生が「「実証されている」といわれると, 納得するしかないのかもしれませんが, まだ何かすっきりしません」と言っているのと同じ気持だ。電磁気学によって、光速は「完全に静止した座標から見たときだけ秒速30万kmになる(ニュートンの考え)」あるいは、「だれからみても同じ値をとる」と考えられて、アインシュタインは絶対座標を否定して光速度不変の原理にたどり着いた…ようだがそれもさっぱり。特殊相対性理論について解説しているブログでも「原理は原理」とのこと。まあそういうことなんだろうと思うことにする。
ローレンツ収縮のたとえ話(思考実験?)は、以下のとおり。
母船から見て1.3光年先にある惑星から、宇宙船が母船に戻ろうとしています。1光年とは、光が1年で進む距離で約9兆4600億キロメートルです。さて、宇宙船には1年後に爆発する時限爆弾がしかけられていたことが判明しました。時限爆弾は母船でしか解除できません。宇宙船は光速の80%で飛べますが、1.3光年は光でさえ1年では到達できない距離です。宇宙船は母船にたどり着けず、爆発してしまうのでしょうか?それとも爆発する前に無事、母船に到着できるのでしょうか?(p.76)
これは観測者を明確にすることが重要で、母船からみた場合、宇宙船は光速に近い速さで飛ぶため母船の1秒に対して宇宙船は0.6秒しか進まない。*2そのため、母船から見たとき、宇宙船にとっての1年は母船にとっての1.67年となる。宇宙船が光速の80%で1.67年飛べば1.33光年進めるため、爆発は免れる。宇宙船から見たときは、母船が宇宙船に向かって光速の80%で進み、1年間に0.8光年近づく。そして自分以外の宇宙全体が0.6倍にちぢむことで、母船までの距離が1.3*0.6=0.78光年となり、到着できるというのだ。わけがわからない!
とまあ、面白そうなんだけど人に説明しようとするとさっぱりわからんという感じだった。出来る範囲で数式を追って理解したい。
関連情報
ブルバの「高校数学でわかる相対性理論」は読んでみたい、が…これも中々難しいようだ。
- 作者: 竹内淳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/02/21
- メディア: 新書
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www.yukihy.com
このブログは簡単にまとまってそうなので読んでみたい。ちなみに、もう一冊相対性理論の本を借りてきているのだが、よくみたら監修者が同じで少し残念。でもイメージをよりつかむために読んでみようと思う。
基礎知識を得て本を読め『読書の技法』佐藤優
#読書法
読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/07/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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