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しあの巣

読書やゲームや美術館めぐりなどの日々の記録

濃縮された革命の要素『動物農場』ジョージ・オーウェル

#寓話 #政治 #社会主義

一九八四年を読んでからいろいろなところで名前だけは聞いていたのでぜひ読んでみたいと思っていた一冊。前評判に違わず、非常に面白くて完成度も高い内容だった。
ある日、ジョーンズさんの農場で一匹の賢い豚メージャー爺さんが「諸悪の根源は人間にある。人間を追放し、動物たちだけの楽園を作れば我々は穏やかに暮すことができる」という理論を提唱した。賢い豚はその後まもなく亡くなってしまうが、動物たちは反乱を起こし農場主を追い出すことに成功する。メージャー爺さんの後を継いだ3匹の豚ナポレオン、スノーボウル、スクィーラーは理想の世界を作るために活動しはじめるものの、といった話だ。
読み終わってすぐに、プチ一九八四年のような話だと感じた。あれも革命を描いた作品だし似ているといえば似ているのだけど、こちらのほうがより濃縮されている。話が進むにつれ、メージャー爺さんの考えた「人間の習慣はすべて悪である」という戒めは独裁者によってどんどん書き換えられていくのだが、文字が読めないほかの動物たちはなんだか変わっている気がするなあと不思議に思う程度で書き換えられたことに気がつかない。このあたりは一九八四年の「過去の不都合な事実をすべて消去または書き換える」作業に似ていると感じた。
ついつい現実に起こった革命を思い浮かべながら読んでしまうが、この話はどのような革命にも当てはまりうる。誰もが平等な世界を目指していたはずなのに、いつのまにかまた権力が生まれ、支配-被支配の関係となっている――革命の要素が詰まった傑作。

付「G・オーウェルをめぐって」については、訳者の開高健氏の書いたオーウェル論(メインは一九八四年)である。これがページ数にして半分以上を占めているので、まだ一九八四年を読んでいない人は先に一九八四年を読むか、別の出版社から出ている動物農場を読んだほうがいいと思う。内容はとてもおもしろかったので一九八四年を読んだことがある人にはおすすめしたい。