しあの巣

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『鉄道会社の経営―ローカル線からエキナカまで』感想,まとめ

2015/07/?〜2015/07/08 #佐藤信之 #新書 #鉄道

経営というほどではないが鉄道会社の事業内容について解説している。カバー範囲はJR東/東海/西、関東大手私鉄、阪急と言ったところでそこまで網羅的ではない。
住みたいところあたりの鉄道史を調べて見ると面白いんじゃないかと思った。

まとめ

ざっくり内容まとめ。

1章 鉄道の経営とは
 →津軽鉄道…経常利益-1415万円(2012)。通学定期多い。今後は通学利用増と観光客誘致が目標
 →JR東…経常利益3174億円(連結、2012)。新幹線と首都圏が利益のほとんど。連結売上高の7割を鉄道事業が占める
2章 日本の鉄道事業の特徴
 →多くは建設費用回収済み、JR東+私鉄のネットワーク充実(東京)、旅客輸送の鉄道分担率が高い(旅客人キロで25.6%(フランス11%))
3章 新幹線鉄道網の形成
 →1964東京〜新大阪間で東海道新幹線開通、特急6.5h→4h(当時)に短縮。全国に新幹線および在来線を走るミニ新幹線スーパー特急が整備された。//四国の新幹線?これのことかな?
  直通3時間を切ると新幹線のシェアがほぼ100%になる
4章 都市鉄道の整備
 →時代と共に進んだ
5章 鉄道会社のレジャー開発
 →ピーク時の逆方向輸送・日中,休日の輸送力の活用のため主に私鉄がレジャー開発。宝塚、西武園、箱根、野球チーム等
6章 鉄道会社の増収努力
 →新線需要=他の路線からの移動でしかない⇒既に存在する路線を活用して増収する必要有
  通勤ライナー、グリーン車ロマンスカー等着席サービスをウリにするものやミニ新幹線
7章 鉄道会社の観光開発
 →鉄道を使って観光地を訪れる/鉄道そのものを観光資源にする(黒部峡谷鉄道ななつ星
8章 鉄道会社の沿線開発―住宅地とターミナル
 →阪急…池田室町住宅地開発、阪急百貨店、東急…田園調布(渋沢栄一)、渋谷
9章 鉄道会社のエキナカビジネス―JR東日本の場合
 →エキナカは独占的かつ地の利が大きい。キヨスク、アトレ、Dila、ecute
10章 必要な鉄道の維持のために
 →公的に支えていかないと潰れちゃうよという提言

抜き書き

上と被ってる部分もある

・JR東
新幹線…全収入の29.3%(営業路線キロ15.1%)
首都圏在来線…全収入の66.4%(営業路線キロ33.8%)
首都圏以外の在来線…全収入の4.3%(営業路線キロ51.1%)
・S39(1964)10/1 東海道新幹線東京〜新大阪開業 工事費3304億円 移動時間4h 在来線特急…6.5h S46までに3842億円の利益
・直通で3hを切るとJRのシェアが100%近くなる(多少時間がかかっても直通>乗り換えあり)
・明治39(1906)まで…東北本線中央本線総武本線、山手線、常磐線/東武伊勢崎線、玉川電気鉄道(田園都市線一部他)、京浜電気鉄道(京浜急行)
明治末…王子電気鉄道(都電荒川線)の大塚〜飛鳥山、京成電気鉄道(京成電鉄)の金町〜柴又
・昭和2(1927)まで…武蔵野鉄道(西武鉄道)、東上鉄道(東武東上線)、西武鉄道、小田原急行鉄道(小田急電鉄)、目黒蒲田電鉄(東急目黒線他)、東京横浜電鉄(東急東横線)、京王電気軌道(京王電鉄)、城東電気軌道(廃止)
関東大震災の結果家が焼けて下町の人は東京の外周部に、裕福な人は田園調布等に移動→郊外の私鉄が路線網拡大
・昭和初期…金融恐慌等により鉄道需要減少→利便性を重視した駅作り(赤坂見附、お茶の水
戦後…コストと工期重視→移動大変
・>新線に需要がついたとしてもそれは他路線からのシフトであり、その路線の採算性を悪化させることになる
・「市内交通市営主義」で山手線内が聖域化→郊外私鉄は山手線の駅をターミナルにせざるを得なかった
・私鉄は鉄道需要を生み出そうとする(レジャー開発等)