しあの巣

読書やゲームや美術館めぐりなどの日々の記録

『犬と魔法のファンタジー』感想

田中ロミオ『犬と魔法のファンタジー』(2015)
2015/08/05〜2015/08/05 #ライトノベル #青春小説 #ファンタジー

 (オタサーの)姫と就活のファンタジーだった。世界観こそファンタジーでエルフやらオークやらなんやら出てくるし魔法もあるが、やっていることは就活だ。つらい。犬と魔法は僅かしかない。こちらは就活終わってるからいいものの、就活真っ最中、しかも8月に見たら頭がおかしくなっておれもボウケンシャーになるぞ!!とか言い出しかねない力のある話だった。
 ただし「自分を捨てて"戦士"になれなければ、自分で道を切り拓く"冒険者"になるという道もある」で終わってしまってはただの自己啓発書チックな話だとも思った。物語は"戦士"になれなかった主人公が"冒険者"になることを選択したところ+αで一旦切れ、後日譚で冒険者(文字通り)としてインタビューを受けるところで終わっている。つまり、主人公が"冒険者"を選んだ代償は描かれていない。
 自分で道を切り拓くのは本当に大変なことであり、覚悟もない人に簡単に勧めていいものではないと思っているので、この終わり方には少々不満が残った。続編で冒険者になった主人公が描かれるならぜひ見てみたい。