しあの巣

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奇想天外な短編集『独創短編シリーズ 野﨑まど劇場』野﨑まど

#ライトノベル #短編集

野﨑まどの小説はあまり合わないなと思っていたのだけれど、この短編集は半端なく面白くて何度も吹き出してしまった。短編集といっても一話一話は本当に短く、本文319ページの内に24本の話が収録されている。なので一話平均は約13.3ページなのだがその中に笑える箇所がいくつもあってずるい。あとテンポもよくてずるい。
雰囲気としてはギャグマンガ日和のノリの良い回に似ていて、ページをめくるたびそう来たか!というような展開に思わず笑ってしまう。ただし人は選ぶノリだと思うので、試しに適当な話を読んでみてから読むかどうか決めた方がいいだろう。私は「Gunfight at the Deadman city」、「第60期 王座戦五番勝負 第3局」、「MST48」、「妖精電撃作戦」、「TP対称性の乱れ」が特に好きだ。テーマ自体は西部劇風、将棋、アイドル…と分かりやすい、よくあるテーマが多いんだけどそこから一捻りも二捻りも加えてくるから凄い。野﨑まどのアイディアの素晴らしさが存分に生きた一冊。