しあの巣

読書やゲームや美術館めぐりなどの日々の記録

スタニスワフ・レム『ソラリス』感想

ネタバレ注意

・読んだきっかけ
 何か新しいSFを読みたくて、知らない作家縛りでジャケ買い。裏面あらすじの「人間以外の理性との接触は可能か?」という言葉に惹かれた。
・面白かったところ
 相手方に理性と呼べそうなものがあり、何らかの意志を持って活動していることは分かるのだけど相互理解不能ってところが面白かった。ファーストコンタクトものでは文化や言語の問題さえ乗り越えれば相互理解できる!ってやつしか読んだことがなかったのですごく新鮮味があって良かった。順列都市のゴキブリ共同思念体(うろ覚え)とかディアスポラの超巨大分子計算機と似た印象を受けたが、あれらよりは意志というものがありそう。
 人間と海が相互理解不能なことを説明する場面で、「我々人間が対称体の設計を完璧に理解したところで、海が何のために対称体を作っているのかは理解できない―」って言ってたのがすごくしっくり来て、一番印象的なシーンだった。
・構造的に面白かった点
 相互理解不能な接触を行う場合、相手側からの理解可能なレスポンスがないわけで、人間側がトライアンドエラーを延々と繰り返すつまらない状態になりうると思うんだけど、その問題への対処法が面白かった。読み終わってから考えてみるとあれはそういう役割も果たしてたよなーって。使者的な。
・だるくなった点
 終盤、ソラリス学について延々と語られているシーンで一旦読むのをやめてしまった。オチが気になってしょうがないのにここでこんなに長いのをもってくるなよ!と思ったが読み直すと悪くない感じ。初読では長ったるく感じる。

総じて超面白かったです。レムの他作品も読みたいーと思って砂漠の惑星借りてきました。案の定同じことを考えている人が多いのか、amazonで高騰(20150611時点で1,756円)してますね。これを期に新訳版が出ると嬉しい。